日向見薬師堂

5月も終盤になり、一雨ごとに緑が色濃くなる四万の山里です。ヤマボウシやウツギの花も咲き始め、オオルリやキビタキの囀りも聴こえるようになり、山中が夏を迎える準備に余念がないといった趣ですね。このように温かくなると徒歩で四万のあちこちを散策する観光のお客様の姿も増えてまいりますが、四万ゆずりは荘から少し奥に入った日向見(ひなたみ)エリアにある日向見薬師堂は、訪れる人も多い四万屈指の観光スポットのひとつで、以下のような伝説と歴史が語られています。
永延3年(989年)のころ、源頼光の家来、碓氷貞光(うすいのさだみつ)が越後から四万奥の木の根峠を越えて現在の日向見付近に辿り着き、谷川の音に心を静めて一晩中お経を読んでいたそうです。夢の中に現れた一人の子どもから「あなたの読経の真心に感心し四万(よんまん)の病気を治す温泉を与えよう、われはこの山神である」とのお告げを聞き、目を覚ますと渾渾と温泉が湧き出ていた・・・という四万温泉発祥の伝説がこの地に残されており、件の武将、碓井貞光が日向守であったことから、四万温泉の開湯地を特に日向見と呼んでいるとの説もあります。また貞光は、御伽草子の中で大江山の酒呑童子退治で活躍した頼光四天王の一人として描かれています。渡辺綱や坂田金時ほどメジャーではありませんが、ご存知の方も多いのではないでしょうか?時は下り、慶長3年(1598年)時の領主、真田信幸の武運長久のために、この伝説の地『日向見』に薬師堂が建立されました。真田一族と当地の結びつきの深さは大河ドラマなどで度々描かれているので広く知られておりますね。薬師堂は室町時代の建築様式(唐様和様の折衷)を残しており、現存する県内最古の寺院建築と言われています。規模的には小さなお堂ですが、国指定の重要文化財に指定されており、付近には足湯や御夢想の湯などもあります。日向見エリアへは四万ゆずりは荘から徒歩で10~15分ほど。ご滞在中の散策におすすめです。